診療体制
乳腺外科
- 概 要
- 乳がんの
診断と治療 - 医師紹介
- 臨床指標
- 外来担当表
診療概要
すべてのタイプの乳がんに、標準治療を提供
当院の乳腺外科は、診断から手術・化学療法やその他の薬物療法など、広くにわたり専門性を高め、患者さん一人ひとりに最適な乳腺診療を提供できるように心掛けています。すべての乳がんタイプに対応し、日本乳癌学会のガイドラインに則った標準治療を提供いたします。乳腺の良性疾患も診療いたします。
最新の知見を常に学び、研鑽し、受診して良かったと思っていただけるよう、最善を尽くしております。当院の健診部門や地域の先生方と連携し、名古屋市南部・知多半島地域の乳がん診療拠点として、迅速かつ的確な診断・治療を行ってまいります。
地域の先生方へ
このような方をご紹介ください
- 乳腺にしこりがある方
- 検診で要精査になった方
- その他、乳房になんらかの症状や違和感があり心配されている方 など
3Dマンモトーム検査のみのご紹介も承っています
2025年10月、3Dトモシンセシスの機器を更新しました。従来のものよりも高精度かつ迅速な検査により、患者さんへの負担少なく実施いたします。検査後、結果をご紹介いただいた先生へお返しします。地域医療連携室よりご紹介ください。
Dらじで乳がんの検査・診断・治療について知る
知っておきたい、“もしものとき”の乳がん治療
乳腺外科部長 雄谷純子
もしも乳がんが見つかったら…その診断と治療について、当科部長の雄谷医師が語ります。
乳がんは誰がなってもおかしくない~受けよう!マンモグラフィ
診療放射線技師 奥田智子
マンモグラフィの検査を行う放射線技師が、乳がん検診の大切さや、ちょっとでも痛くない受診のコツをお伝えします。
特色
乳がんは女性のがんとしては罹患率第一位で、年間10万人近い方が罹患されています。一方、乳がんの臨床は年々進歩しており、その診断および治療のために、高い水準の医療が要求され、保険適用の範囲も拡大しております。
当院では、すべてのタイプの乳がんに標準治療を提供できるよう、乳腺外科の専門医・指導医である医師が、診断から治療、終末期まで科学的根拠(エビデンス)に基づいた専門的な医療を提供しています。正確な診断、治療を行うとともに、分りやすい説明を心掛け、十分なご理解(インフォームド・コンセント)を得たうえで、それぞれの患者さんに最適な治療を提供します。
2025年秋、設備も大きく更新しました。大同病院1階のプライバシーの保たれたスペースで、医師の診察、マンモグラフィ、エコーなどの専門的な検査・診断を行います。
検査
超音波(エコー)検査
AIを搭載した超音波診断装置の画像処理技術によって、微細な乳腺組織まで高精度に描き出すため、小さな変化もより正確に把握できます、組織の硬度を視覚化するエラストグラフィ機能により、しこりが良性か悪性かなど腫瘤の質的診断の補助情報としています。
マンモグラフィ(乳房X線)検査
2Dマンモグラフィに加え、3Dマンモグラフィにより、さらに検査の特異度を上げます。3D機器(トモシンセシス)は乳房を複数の角度から断層撮影することで立体的に捉え、2Dでは重なって見えにくい部分・隠れた部分の病変も発見しやすくなります。2025年10月導入の新しい機器では、患者さんの負担を従来以上に軽減し、迅速に検査できます。
乳房造影MRI
上記検査のみでは病変の有無を確定できない場合や、がんと診断後の病変の広がりや微細病変の診断の際に用います。生理周期に合わせて日程を組むなど、より精度の高い検査を心掛けています。
病理検査
乳がんの診断には主に、細い針で細胞を採取して顕微鏡で調べる細胞診(穿刺吸引細胞診、分泌細胞診)とよりも多くの組織を採取して調べる組織診(針生検、吸引組織生検、摘出生検)が行われます。
- 穿刺吸引細胞診(FNAC):超音波(エコー)などで病変(しこり)の位置を確認しながら、細胞を吸引して採取します。細い針を使うため負担が少なく、良性・悪性の診断などを行います。
- 分泌細胞診:乳頭から出る分泌液を採取して調べます
- 針生検:太めの針で病変の一部を切り取り、組織を採取します。細胞診より精度が高く、確定診断に用いられることが多い検査です。
- 吸引組織生検(VAB):超音波(エコー)やマンモグラフィなので病変の位置を確認しながら、針生検よりも太い針で、吸引して組織を採取します。多くの組織が採取でき、精度の高い検査が可能です。
- 摘出生検:手術により病変組織を切除して組織を調べます。病変が小さい場合は、切除がそのまま治療になります。
3Dマンモトーム生検
3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)で病変の位置を正確に特定し、特殊な針で組織を吸引・採取する検査です。複数の断面画像から得られる鮮明な画像では、複数の乳腺の重なりを避けて、より正確に病変を映し出すことが可能で、また吸引式の針では多くの組織を採取して正確な診断を行うことが可能です。
2025年10月に更新した機器では、患者さんはゆったりと伏臥位で検査を受けることができます。検査時間も大幅に短縮され、被曝量も低減されます。360度から乳房を映しながら、生検を行います。
治療
原発乳がんの治療は、治療法の進歩に伴い細分化しています。進行度やがんのタイプにより、手術の方法や術前・術後に行う治療が異なります。
手術療法では乳房温存術と乳房全摘術があり、またセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の有無など、多岐にわたります。
術前療法には、化学療法、ホルモン療法、抗HER2療法、術後療法には、放射線治療、化学療法、ホルモン療法、抗HER2療法があります。
手術療法
乳房温存術、乳房全摘術を施行しています。臨床的腋窩リンパ節転移陰性の症例では、色素とアイソトープを用いた併用法でセンチネルリンパ節生検を施行し、手術中に迅速に病理検査にて転移の有無を確認しています。整容性に配慮し、迅速丁寧、早期退院を心掛けています。
センチネルリンパ生検
手術中に、症例に応じてアイソトープを併用した迅速センチネルリンパ節生検を施行し、リンパ節の転移がみられる場合にはそれを切除する「郭清(かくせい)」を行うことがあります。術前に詳しく説明いたします。
(1月から表示)
ラジオ波焼灼療法(RFA)
乳房に細い電極針を刺してラジオ波を流し、がんを熱で焼灼する「切らない治療法」です。乳房の変形が少なく、大きな傷あとも残らないため、美容的なメリットの大きい方法です。入院期間も●日程度となります。
※適応基準:原則として、長径1.5cm以下の早期乳がんで、腋窩(えきか)リンパ節や遠隔転移がない患者さんが対象です。
乳房再建術
乳房全摘術を受ける患者さまには、手形成外科医による再建術が可能です。ご自身のお腹や背中などの組織を使って再建する「自家組織法」、人工乳房を用いる「インプラント法」ともに、当院で施行可能です。
※保険適用です
乳房切除と同時に行う「同時再建(一次再建)」、後から行う「二次再建」のいずれも保険適用です。高額療養費制度の助成対象にもなっています。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された方が、予防的に乳房切除を行った場合の再建も、諸条件を満たせば保険適用となります。
薬物治療
標準治療をベースに、患者さんの状況と希望を考慮して最適な治療を提案いたします。外来・入院のどちらにも対応し、外来で行う場合は化学療法センター(大同病院7階、リンク)で専属のスタッフのもと安心して治療が受けられるよう工夫しています。
乳がんの薬物療法には、化学療法、ホルモン療法、抗HER2療法(分子標的薬)の3つがあり、これらは単独または組み合わせて、術前あるいは術後に行われます。
- 化学療法:がん細胞にダメージを与え、増殖を抑えます。
- ホルモン療法:ホルモン受容体陽性乳がん(エストロゲンなどががん細胞の増殖に関わるタイプ)に有効な治療法です。
- 抗HER2療法(分子標的薬):「HER2」というタンパク質が過剰に発現しているがんに対して施行し、がん細胞の増殖を阻害します。
頭皮冷却療法
乳がんの薬物療法では、残念ながら100%全脱毛してしまいます。抜けてしまった髪は元通りになることも多いですが、中には永久脱毛となったり髪質が変わってしまったりするケースもあります。
それを防ぐため、抗がん剤投与中に専用キャップで頭皮を冷やし、血流を低下させることで脱毛を予防・軽減します。脱毛量を50%程度に抑え、再発毛までの期間短縮も期待されます。
自費ではありますが、治療中~治療後のアピアランスケアの一選択肢としてもご検討いただけます。
(2025年11月ごろより導入)
放射線治療
乳房温存の手術を受けられた場合の残存乳房に対する照射は、すべての患者さんでの施行を原則としています。また、切除不能な局所進行乳がんや転移巣への緩和的照射にも適応し、良い結果を得ています。
がん患者さんのサポート
- 乳がんの疑いがあるといわれた
- 乳がんの診断を受けた
- 治療法に納得がいかない
- 費用のことが心配
- 治療中の家族のことやお仕事のことが心配
- 治療後のアピアランス(見た目)はどうなるんだろう…
乳がんに関する、あらゆるフェーズにおける、あらゆるお悩みに、がん専門相談員の資格を持つ看護師が丁寧にお応えします。
アピアランスケア(ウィッグ、人工乳房など)の商品のご紹介なども行なっています。
管理医師
雄谷純子 部長
- 所属学会
- 日本外科学会、日本消化器外科学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリ―学会、日本臨床外科学会、日本乳癌検診学会
- 資格
- 日本外科学会外科専門医、日本乳癌学会乳腺専門医・指導医、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会責任医師、日本がん治療認定医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本乳癌学会評議員
- 専門領域
- 乳腺外科
スタッフ医師
- 米川佳彦
医長 -
- 所属学会
- 日本外科学会、日本消化器外科学会、日本内視鏡外科学会、日本臨床外科学会、日本大腸肛門病学会、日本感染症学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
- 資格
- 日本外科学会認定外科専門医、日本消化器外科学会認定消化器外科専門医、同消化器がん外科治療認定医、日本乳癌学会認定乳腺専門医、ICD(インフェクションコントロールドクター)
- 専門領域
- 消化器外科、一般外科、乳腺外科
手術件数
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
| 乳がん手術 | 47 | 58 | 54 |
NCDについて
当科では、手術を受けていただいた患者さまの個人情報を除いたデータに基づいて、一般社団法人National Clinical Database(NCD)の外科手術・治療情報データベース事業へ参加しております。 本事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さまに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。全国の医療施設診療科の皆様からご協力をいただくことで、手術を行っている施設診療科の特徴、医療水準の評価、適正な泌尿器科専門医の配置、手術を受けた方の予後、これから手術を受ける方の死亡・合併症の危険性などを明らかにすることができます。また、本事業に登録していただいた症例のみを用いて、各専門医制度の申請が行われるようになりました。
外来担当表
◆乳腺外科は大同病院1階で診療します。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 雄谷 純子 | 雄谷 純子 | 雄谷 純子 | |||
| 午後 |
予約電話番号: 052-611-6265
※変更する場合がありますので、事前に電話にてご確認ください。
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