予防接種センター
子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス)
- 小児期
- 成人期
子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨の再開と救済措置について
2022年4月から、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が再開されました。対象年齢の方にはお住いの市町村から通知が届く予定です。現在でも年に約1万人が子宮頸がんに罹っています。ワクチンで防げる疾患ですので、ぜひ接種をご検討ください。
積極的勧奨の差し控えによって1997年度~2005年度生まれ(誕生日が平成9年4月2日~平成18年4月1日)の女性の中に、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した方がいます。2022年度~2024年度の3年間に限り、救済措置があります。
対象者の方は定期接種として無料で子宮頸がんワクチンが接種できますので、ご検討ください。
※名古屋市以外の方が当院で定期接種として接種するには、お住いの市町村への申請が必要です。広域連絡票をもらってからお越しください。
参考(厚生労働症 資料)
子宮頸がん予防(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
接種回数・接種量
接種対象 | 接種回数 | 接種量 | ||
定期接種 | 2価(サーバリックス) | 小学6年生~高校1年生の女性 | 初回接種後1カ月、6カ月後の3回 | 0.5ミリリットル筋肉内接種 |
4価(ガーダシル) | 初回接種後2カ月、6カ月後の3回 | |||
9価(シルガード9) | 15歳未満で開始 初回接種後6カ月後の2回
15歳以上で開始 初回接種後2カ月、6カ月の3回 |
|||
任意接種 | 2価(サーバリックス) | 10歳以上の女性 | 初回接種後1カ月、6カ月後の3回 | |
4価(ガーダシル) | 9歳以上の男性・女性 | 初回接種後2カ月、6カ月後の3回 | ||
9価(シルガード9) | 9歳以上の女性 | 15歳未満で開始 初回接種後6カ月後の2回
15歳以上で開始 初回接種後2カ月、6カ月の3回 |
子宮頸がんについて
子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんで、20~30代で急増し、日本では年間約1万人の女性が発症しています。子宮頸がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で引き起こされる病気です。発がん性HPVは、感染しても多くの場合、感染は一時的でウイルスが自然と排除されますが、感染した状態が長く続くと、数年から十数年かけて前ガン状態を経て子宮頸がんを発症することがあります。発がん性HPVには、15種類ほどのタイプがありますが、その中でHPV16型、HPV18型は子宮頸がんで多くみつかるタイプで、子宮頸がん全体の60~70%がこの2つの型によるものです。9価(シルガード9)は、16型、18型の他に5つの型が追加されており、子宮頸がん全体の80~90%を防ぐことができます。
子宮頸がん予防ワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)とは
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触により感染するため、HPVに感染する以前の年代でワクチン接種を行い、HPV感染を防ぐことで子宮頸がんの発症の阻止ができるとされています。そのため、11~14歳の女性を優先的に接種を強く推奨します。11~14歳で接種を受けることができなかった15~45歳の女性に対しても接種を推奨します。
子宮頸がん予防ワクチンには、2価子宮頸がん予防ワクチン(商品名:サーバリックス)、4価子宮頸がん予防ワクチン(商品名:ガーダシル)、9価子宮頸がん予防ワクチン(商品名:シルガード9)があります。
2価子宮頸がん予防ワクチン(商品名:サーバリックス)
HPV16型・HPV18型の感染を予防するワクチンで、HPV16型・PV18型の感染の持続感染、HPV16型・HPV18型が関与する前がん病変を予防する効果があります。
4価子宮頸がん予防ワクチン(商品名:ガーダシル)
HPV16型・HPV18型に加えてHPV6型・HPV11型の感染も予防するワクチンで、HPV16型・HPV18型の感染の持続感染、HPV16型・HPV18型が関与する前がん病変を予防する効果と、外陰部上皮内腫瘍・膣上皮内腫瘍・尖圭コンジローマ(性器や肛門の周りにできる良性のイボ)を予防する効果があります。
2020年12月25日から、男女ともの「肛門癌とその前駆病変(肛門上皮内腫瘍)」と、男性における尖圭コンジローマへも適応が追加され、男性にも接種可能になりました。
9価子宮頸がんワクチン(商品名:シルガード9)
2020年7月21日に製造発売承認され、2021年2月24日に発売開始しました。4価に加えてHPV31型、33型、45型、52型、58型の感染も予防します。アジア人に特に感染が多くみられるHPV52型、58型が含まれています。2価と4価のワクチンは子宮頸がんの原因となるHPV型の65.4%をカバーしましたが9価ワクチンはHPV型の88.2%をカバーします。2023年4月1日から定期接種としても使用できるようになりました。接種開始時の年齢によって接種回数が異なります。
- どちらも3回の接種で効果が十分得られますので、3回きちんと接種してください。一方のワクチンで接種を開始したら、3回とも同じワクチンでの接種となります。
- どのワクチンも、子宮頸がんを100%予防できるわけではありません。ワクチン接種とあわせて、定期的な子宮がん検診を実施されることをお勧めします。
子宮頸がんワクチンの比較
サーバリックス | ガーダシル | シルガード9 | |
予防できる ヒトパピローマウイルスのタイプ |
16型、18型 (子宮頚がんに関与) |
16型、18型 (子宮頸がんに関与) (肛門癌に関与) 6型、11型 (尖圭コンジローマ にも関与) |
16型、18型、31型、 33型、45型、52型、58型 (子宮頚がんに関与) 6型、11型 (尖圭コンジローマ にも関与) |
接種方法 | 0・1・6 カ月の 3 回 筋肉注射 |
0・2・6カ月の 3 回 筋肉注射 |
(15歳未満で開始) 0・6カ月の2回 (15歳以上で開始) 0・2・6カ月の3回 筋肉注射 |
接種場所 | 上腕三角筋 | 上腕三角筋 または大腿四頭筋 |
上腕三角筋 または大腿四頭筋 |
接種年齢 | 10歳以上の女子 | 9歳以上の男女 | 9歳以上の女子 |
子宮頸がんに対する効果 | 子宮頸がん全体の65.4% | 子宮頸がん全体の65.4% | 子宮頸がん全体の88.2% |
検診の必要性 | 必要 | 必要 | 必要 |
副反応 | 612 例中 疼痛 99.0% 紅斑 88.2% 腫脹 78.8% |
562 例中 疼痛 82.7% 紅斑 32.0% 腫脹 28.3% |
254 例中 疼痛 81.9% 紅斑 40.2% 腫脹 44.9% |
費用 | 16,500 円(税込)/回 | 16,500 円(税込)/回 | 26,400 円(税込)/回 |
副作用他
2013年より、ヒトパピローマウイルスワクチン接種後にワクチン接種との因果関係が否定できない持続的な疼痛等が見られたことから、この副反応の発生頻度等が明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種の積極的な接種勧奨は一時差し止められていました。
その後、専門家の会議において継続的に議論されてきましたが、2021年11月に開催された会議において、安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められました。
こうした専門家の意見を踏まえ、令和3(2021)年11月26日に差し控えの状態を終了させることとなり、令和4(2022)年4月から個別の勧奨(個別に接種のお知らせを送る取り組み)を順次行うことになりました。
ワクチン接種後に生じた症状については、引き続き適切な診療が提供されるよう各都道府県において協力医療機関が選定されています。まずは接種医療機関にご相談ください。
愛知県の広域予防接種事業について
愛知県の他市町村在住の方も、お住いの市町村で手続きをして広域連絡票をお持ちでしたら、当センターにて定期接種として接種できます。