がんとともに生きる
食道がん
食道がんとは?
食道は喉から胃までの管状の臓器です。食道がんとは、その食道の内部を覆っている粘膜から発生したがんのことを言います。食道がんのリスクには喫煙や飲酒、肥満、野菜・果物の摂取不足などが知られています。
食道がんは初期には自覚症状がなく、健康診断や人間ドックでの内視鏡検査で偶然発見されることがあります。進行すると胸の奥や背中が痛む、飲食時の胸の違和感(熱いものを飲み込んだ時にしみる感じ)などの自覚症状が出現します。病変が大きくなると食道の内腔が狭くなり、食事がつかえる感覚が出現し、場合によっては食事が通らなくなります。このような症状があればすぐに病院を受診することをお勧めします。
食道がんの診断
食道がんの診断に最も有用なのは内視鏡検査(胃カメラ)です。食道を直接観察することで、病変の位置や大きさ、表面の性状、色調などから判断します。必要に応じて組織を一部採取して細胞の検査も行います。近年は内視鏡技術が進んでおり、小さな異常でも見つかるようになりました。
食道がんの治療
早期がんであれば内視鏡的に治療が可能です。内視鏡で病変を観察しながら特殊なナイフを使ってがんを少しずつはがしていきながら切除します。これは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といわれるものです。ESDはより高度な技術を必要とし、限られた施設でしか行うことができません。
進行がんでは、外科的手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療を組み合わせて治療を行います。
当院の特色・診療体制
年間1万件以上の内視鏡検査を行っており、多くの食道がんの診断も行っております。
通常の内視鏡観察に加え、疑わしい病変に対しては拡大観察や狭帯域光による画像強調観察を行ったり、特殊な染色液(ルゴール液)を散布して詳細に観察することが可能です。
治療においても経験豊富な医師によるESDが行われており、また外科的手術も数多く行っています。
早期食道がんであれば内視鏡的処置を、手術適応のある進行がんであれば外科的手術を、手術適応のない進行食道がんであれば抗がん剤や放射線を中心とした治療を、消化器内科・外科が協力しながら、それぞれの患者さまに合わせた治療を実践しています。