がんとともに生きる
膵臓がん
膵臓がんとは?
膵臓は胃の裏側に横たわる淡黄色の細長い臓器です。膵臓は十二指腸に近い部分から頭部、体部、尾部に分類されます。主な働きは、食べ物の消化(外分泌)と、血糖値の調整のためにホルモンを分泌(内分泌)することです。
膵臓がんは膵管上皮から発生し、直接浸潤、転移をきたします。膵臓がんは消化器系のがんでは最も治りにくいといわれます。初期の段階では特別な症状がなく、診断時には進行をきたしていたり、転移をしていたりする場合が多く見られます。腹痛、腰背部痛、黄疸、体重減少、糖尿病の発症や悪化を認めた場合に膵臓がんの可能性を考慮して検査を行います。
膵臓がんの診断
膵臓がんの診断は採血所見、画像所見、内視鏡検査などで行われます。
血液検査では膵酵素の上昇や、胆管が狭窄した場合には胆道系酵素(γ-GTP、ALPなど)の上昇が認められます。また腫瘍マーカーとしてCEAやCA19-9の上昇も認められます。
画像検査には超音波検査やCT、MRI、超音波内視鏡、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などが挙げられます。超音波検査は体への侵襲も少なく、膵臓がんのスクリーニング(がんの可能性の有無の判定)に最適な検査とされております。
CTでは膵臓のみならず、周囲の臓器との位置関係や浸潤範囲を評価することができます。
MRIはCTとは違い放射線被ばくがありません。また胆管や膵管の画像を写し出し、腫瘍との位置関係などを確認することができます(MRCP)。
超音波内視鏡は、内視鏡専門医が行う検査の一種であり、内視鏡(胃カメラ)の先端についた超音波で胃壁や十二指腸壁を通して膵臓や胆管、肝臓を観察する検査です。腹部超音波やCT、MRIで写し出せなかった小さな病変を見つけることができます。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、超音波内視鏡同様、内視鏡専門医による手技です。CTや超音波検査にて膵臓がんが疑われる場合や、がんによって閉塞性黄疸をきたしてしまっている際の一次減黄(一時的に黄疸を解除する)を目的にも行われる手技です。また、ERCPを施行し膵液細胞診などの組織検査も同時に行うことができ、確定診断につながることもあります。
膵臓がんの治療
病期を正確に診断したうえで治療法を決定します。膵臓がんを根治できる治療法は外科手術です。近年では手術が可能な場合でも、予後の改善が見込めるため化学療法を先に行った上でその後に外科手術を行うことが推奨されています。
腫瘍の発生部位によって手術方法に違いがあります。膵頭部にがんが発生した場合には膵頭十二指腸切除術が選択されることが多く、手術の中でも最も複雑な技術を要する手術のうちの1つとされています。膵尾部に発生したがんに対しては尾側膵切除術が選択され、膵臓の左側と脾臓を摘出する手術となります。
手術が第一選択とならない場合には、化学療法・放射線治療などの集学的治療を行います。これらの集学的治療でがんの制御ができる場合には根治的な外科手術が考慮できる場合があります。
当院の特色・診療体制
外科手術は、元名古屋大学腫瘍外科教授の梛野正人医師を中心に施行しています。
当院では、正確な病期診断を行うことができるように、超音波内視鏡や内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)力を入れています。また、毎週消化器内科と外科が合同カンファレンスを行い密な連携を保ち、早期診断・早期治療を念頭に日々診療しております。腫瘍内科とも毎週合同カンファレンスを行い、最新でそれぞれの患者様に適切な化学療法が行えるように取り組んでいます。