がんとともに生きる

脳腫瘍

脳腫瘍とは?

脳腫瘍とは頭蓋内に発生する腫瘍のことです。大きくわけて脳実質及び付随組織由来の腫瘍からなる原発性脳腫瘍と、転移性脳腫瘍があります。
一般的な脳腫瘍の症状として、頭蓋内圧亢進症状(頭痛や吐き気など)や、麻痺などの局所症状があります。さらに経過中にてんかん発作(けいれんなど)を発症することがあります。
人口10万人あたり18~20人に発生し、最初にがんが発生した場所と病理組織学的、遺伝子診断などにより悪性度がgrade I~IVの4段階に分類されます。

脳腫瘍の診断

画像診断が中心であり、造影剤を用いたMRIが最も有用です。
その他、CT、脳血管撮影、PET(陽電子放出断層撮影法)などが補助診断として用いられます。
胚細胞性腫瘍や悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍などでは、血液や髄液の腫瘍マーカーも補助診断に有用な場合があります。

脳腫瘍の治療

脳腫瘍の治療は「手術治療」「化学療法(薬物治療)」「放射線治療」が中心となります。
脳腫瘍は非常に細かく分類され、その種類によっても治療法が異なるため、組織学的診断を得るためにも手術治療が必要となります。 髄膜腫や聴神経腫瘍などの良性の腫瘍は、手術で全摘出できれば根治が期待されます。
一方で悪性リンパ腫や胚細胞性腫瘍などでは、全摘出は行わず、生検(一部の摘出)のみにとどめ、術後の化学療法、放射線療法が治療の中心となります。
悪性脳腫瘍の場合は、手術治療、化学療法、放射線治療を組み合わせて行う必要があり、看護師・薬剤師を含めたスタッフ、緩和ケアチーム、リハビリテーションスタッフと共に、個々の病状に応じて、患者さまご自身、ご家族と相談しながら治療にあたります。

当院は名古屋大学医学部附属病院脳神経外科や関連施設と連携しており、低侵襲の定位放射線治療(ガンマナイフやノバリス)専門施設などへのご紹介をさせていただくことも可能です。

当院の特色

脳は部位ごとにそれぞれ固有の機能(運動、感覚、言語など)を有しており、その機能を温存した上での最大限の手術での摘出が必要となります。神経膠腫とよばれる代表的な脳腫瘍は、脳内を浸潤性に発育(周辺組織に侵入して増殖)するため、全摘出を目指すと後遺症を出現させる場合があります。そのため、当院では術中ナビゲーション、運動誘発電位(MEP)、感覚誘発電位(SEP)、術中蛍光診断(5-ALA)などの術中モニタリングを用いながら、より安全に最大限の摘出ができる環境を整えています。

当院は下垂体腫瘍の摘出や、脳実質内腫瘍、脳室内腫瘍の生検術などに対する内視鏡を用いた脳腫瘍手術も積極的に行っています。内視鏡を用いた手術は、これまでの手術に比べ低侵襲で傷も小さく、術後の回復も早いのが特徴です。

化学療法は入院、通院共に可能です。

放射線治療も可能であり、転移性脳腫瘍に対する放射線治療(全脳照射)に対応しています。全脳照射以外の照射も段階的に運用を開始しています。

また、当院は名古屋大学脳神経外科脳腫瘍グループと連携して脳腫瘍の遺伝子診断を行うことが可能であり、より正確な診断を得ることができます。

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