当院について

「おもてなし通信」第9号(2025.07)

特集1「汗」

天然の温度調節機能である「汗」を
さまざまな角度で分解します。
汗から読み解く、わたしのカラダ。
汗はカラダからのメッセージ。

熱中症の予防にも大変、重要な役割を担います。
汗の正体、汗と体臭、汗と水分、汗にまつわる病気・診療科など
気になることをたっぷりご紹介します!

 

汗には「いい汗」とそうでない汗がある!

だれもが日々さまざまな汗をかきます。でも、「いつもと違う」「汗の量が多すぎて困る」「汗が出ずに体がしんどい」と感じたときは、なんらかの体からのサインかもしれません。

 

汗にあらわれる、カラダとココロのサインを見逃すな!

汗にまつわる病気には、いくつかの種類があります。

あせも、多汗症やワキガは、まず皮膚科へ

汗による湿疹やかぶれ、多汗症やにおいのトラブルは、皮膚科で診療しています。外用薬や注射などの治療法もあります。“体質だから” とあきらめず、一度ご相談ください。

 

汗の悩みは、意外と複雑

気になる症状は、内科(内分泌脳神経)・婦人科精神科など複数の診療科にまたがることも。まずは、かかりつけ医にご相談ください。

 

汗かきさんのミネラル補給

汗を大量にかくと、水分とともにミネラル分も失われます。

  • ナトリウム:発汗量が多い人はこまめな補給が必須です。水だけの補給では「低ナトリウム血症」のリスクがある場合も。経口補水液(OS-1 など)や塩分タブレットなどの利用も検討しましょう。
  • マグネシウム:夏バテ・こむら返り・疲れやすさがある人は意識すると良いでしょう。豆類、ナッツ類、玄米などで補給できます。

汗の正体

汗と熱中症の関係、知っていますか?

汗は、体にこもった熱を外に逃がす「冷却装置」です。でも高齢者や発汗機能が低下している人は、暑くても汗をうまくかけず、熱が体内にたまりやすくなります。
特に高齢になると、のどの渇きを感じにくいことから水分不足になるのに加え、汗腺の働きも弱まりがちです。こまめな水分補給のほか、汗をかく習慣を意識してみましょう。

 

汗活(アセカツ)で、熱中症を予防しよう!

健康なひとでも、冷房に慣れすぎると汗をかく力が弱くなり、暑さでだるさを感じやすくなったり、熱中症になりやすくなることがあります。
暑熱順化」とは、体を少しずつ暑さに慣れさせ、暑さに強い体にすることで、次のような効果があります。

 

発汗トレーニング

暑熱順化のための方法のひとつです。
本格的な暑さがやってくる前から2 週間くらいかけて徐々に慣らしていくのが良いと言われています。
基礎疾患のある方は、医師の指導のもとで行うことをオススメします。

 

例えば・・・

  • シャワーだけでなく湯船につかる(2 日に1 回以上)
  • 30分程度のウォーキング(少し汗ばむくらい)
  • ストレッチやヨガなどの軽い運動(少し汗ばむくらい)

特集2「砂の上の挑戦者」

ビーチが私のステージ

2023年4月、オト選手は
“人々に元気を届けたい”という決意とともに、私たちの法人に加わった。
当時、ケガの影響で競技から一時離れていたが、
その瞳は、跳ぶことを諦めてなどいない。

高校まではインドアのバレーに打ち込み、高3の冬に出会ったビーチバレー。
太陽、風、そして砂。
自然と一体になって闘うこの競技に、彼女は心を奪われた。

やがて訪れた試練。大きなケガによりコートを離れる時間を余儀なくされた。
長いリハビリの中で見つけたのは、支えてくれる場所と、人々の存在。

そして2024年10月、彼女はふたたび砂の上へ戻った。
目指すのは、2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得。

その眼差しの奥にあるものとは何か。
彼女が再び〝跳ぶ〞ために選んだ道とは――。

彼女の言葉に耳を傾けてほしい。

オト・パウリネ・恵美里

もう一度“跳ぶ”ために~あの日からの物語

砂の上に立った日

Q ビーチバレーボールとの出会いを教えてください。
A 高校3年生の冬、母から「やってみない?」と誘われたのがきっかけでした。最初は全然跳べないしサーブも入らないし、正直「なんだこの競技…」と思ったけど、砂の上で自然と一体になってプレーする感じが面白くて。風に影響されたり、自分のプレーが変わるのがすごく楽しいんです。すぐ「これで進もう」と決めました。

 

止まった時間

Q それでも前へケガで競技を離れていた間、どんな思いで過ごしていましたか?
A 試合中に左膝をケガして、大きな手術となりました。でも、ケガをした日に母に電話したら「これから1年はリハビリの時間だね」と、あたり前みたいに言ってくれて…その一言で、私はまた競技に戻れるって信じることができました。それでも不安は大きいし、リハビリは本当に大変で、結果として2年近く思うようにプレーができなかったですが、今、再びコートに立てるようになって、『やっぱりビーチバレーは楽しい!』、それに尽きます。

 

目指す先に、誰を思うか

Q これからどんなステージを目指していきますか?
A 目標は2028年のロサンゼルスオリンピック出場、そしてメダル獲得です。そのためにもまずは、2026年のアジア大会出場を目指しています。また、宏潤会職員としても、患者さんや職員の皆さん、地域の方々に元気を届けられる存在になりたいと思っています。プレーでも、それ以外でも、誰かの心に元気を届けられるような、そんな選手でいたいです。

ビーチに恋して~ビーチバレーボールってどんなスポーツ?

ビーチバレーボールは、砂浜にネットを張ったコートで2 人1 組で対戦する競技。風や太陽など自然条件の中で行われ、体力・判断力・技術のすべてが試されるダイナミックなスポーツだ。「たった2人でコートをすべてカバーしながら攻守をこなすのは本当に大変!だからこそ面白い!」とオト選手は語る。

プロフェッショナルDAIDOの流儀

食べることは、生きる力。 「食べたい」という想いに応えたい~管理栄養士

入院中の食事は、治療の一環である。管理栄養士が医学的・栄養学的見地から患者さんごとに調整した献立が提供される。入院前には栄養状態やアレルギーの有無などを確認し、個々の病態に応じた数十種類のメニューを組み合わせていく。塩分や脂質、食べやすさなどをコントロールした食事は、見た目以上に精密な設計に基づく。
しかし、どれだけ丁寧に準備しても「食べられない」患者さんはいる。そのとき、どうすればよいか。管理栄養士は「食べてもらうため」に、心をくだいている。

管理栄養士 大谷菜摘
2017年入職。高校生のとき人の身体に関わる仕事につきたいと、看護学科と迷った末、食への関心と原体験から管理栄養士の道を選んだ。さらには臨床に興味を持ち、病院へ。

小さな違和感から 始まった

「小学生のとき、祖父が胃がんで入院しました。手術でお腹に大きな傷あとができ、そして食べられなくて、だんだんとやせ細っていく姿が、子ども心に衝撃でした。牛すじが大好きだったのに、食べさせてあげられることなく亡くなった。それが原体験になっています」
「食べられないってどういうことだろう」という小さな疑問が大谷菜摘の身体の奥に残った。管理栄養士になって9年目を迎えた今なら、きっと牛すじを食べさせてあげられるだろうと大谷は言う。

「食べる」を支えるために できること

入職以来、消化器内科・外科、婦人科などの病棟を担当し、入院患者さんの食事調整や栄養指導を行ってきた。がん患者も多く、「食べられなければ退院できない」「退院しても、体力がなくすぐに戻ってきてしまう」ことも少なくない。
なかなか思うように食べられない患者さんがいれば、ベッドサイドに足を運び、一人ひとり、なぜ食べられないのか、どこに原因があるのかを丁寧に聞き取る。「食べることは非常に個人的な行為。それを支えるには、本人の気持ちに寄り添う必要があります。“あなたに食べられるようになってほしい”という想いを、まっすぐに伝えるようにしています」
食材や調理法、味付け、盛り付け方、食器の工夫――できることはできるだけやる。それは、食べる力を引き出す支援になる。さらに退院後の生活を見据え、看護師や調理スタッフ、ときには言語聴覚士らと連携しながら、個別の調整を行うのが大同病院流である。

食べるって意外と大変。だからこそ

大切なのは「型を押しつけない」ことだと、大谷は考える。糖尿病や腎臓病、がんなど、それぞれの病気に応じた「正しい食事」はある。しかし家に帰れば環境が異なり、現実には家族構成や生活スタイル、経済的な制約もある。「これはできそう。これなら続けられる、と感じてもらえる提案を心がけています」
最近は、電子レンジやシリコンスチーマーなど、家庭の調理器具の選択肢は増えた。「病気療養中であっても、手間をかけずに栄養状態を守る方法は日々進化しています。コンビニだって選び方次第。〝外食=悪〞という時代ではありません」
大谷が日々、現場で感じているのは「食べるって意外と大変」ということだ。特に高齢の患者さんやがん患者さんでは、味覚の変化、飲み込みの難しさ、薬の副作用による不快感などによって、食べたいのに食べられないケースも少なくない。「でも、“これが食べたい”という気持ちがあるのは、希望そのもの。その気持ちを大切にしたい」
ふと、祖父のことを思い出す。あのとき、もし誰かがそばにいて、工夫してくれていたら――。そう思うからこそ、今日も患者の顔を見に行く。“食べる幸せ”をあきらめないことも、プロフェッショナルの大事な条件だ

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