当院について

「おもてなし通信」第3号(2024.01)

もくじ

脳卒中に気を付けろ!

寒さと不摂生でリスク増!

気温が下がる冬。
暖かい部屋から、廊下、トイレ、浴室の脱衣所など寒いところへ出たときにブルっと震える経験をしたことがあるだろう。
このとき、血管が収縮し、血圧が上がることによって、脳卒中が増えるのがこの季節だ。
そして、原因は寒さだけではない。
食事や飲酒・タバコといった生活習慣も大きく関わってくる。
今号では「脳卒中」について取り上げる。
病気やその治療のことを知ると同時に、新しい年に気持ちを新たに生活習慣を整えるきっかけとなれば嬉しい。

脳卒中とは?

脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血を合わせた総称である。医療の発展で日本での死亡率は減少しているが、日本人の死因第4位であり、患者の数は年々増加している。高齢化や糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病の増加により、今後も患者数は増加すると予想されている。

予防し隊ノウソッチュウ

脳卒中を発症すると、手足のまひや言語障害など、重い後遺症が残ることが多く、社会復帰が難しくなることもある。
まずは「ならないこと」が最も大切!
遺伝など他の要因もあるが、脳卒中の予防は、生活習慣の改善につきるのだ!

 

原因となる生活習慣

ストレス、肥満、タバコ、乱れた食生活、運動不足。大量の飲酒など

危険因子

脳卒中予防10か条(日本脳卒中協会)
  1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
  2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  4. 予防には タバコを止める 意思を持て
  5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  8. 体力に 合った運動 続けよう
  9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
  10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

アタマのなかを覗いてみよう!脳ドックのススメ

脳卒中のきざしを感じる症状がでない人も40代半ばを過ぎたら、数年に1度は脳の検査を受けておくことをお勧めします。だいどうクリニック健診センターでは、脳のMRIとMRA、さらにくびの血管(頚動脈)の超音波検査をセットにした検診を行っています。

MRIでは脳の断面を撮影し、出血や梗塞の検出やリスクのチェックを行います。MRAでは脳動脈の血流の状態を立体的に映し出します。これにプラスして、くびの動脈で脳卒中の主な原因の一つである動脈硬化が進んでいるかどうかを見ていきます。

 

だいどうクリニック健診センター「脳検査(脳ドック)」

脳卒中治療は、時間との勝負

脳卒中は、発症してから少しでも早く医療機関に行き、適切な治療を受けることが救命に繋がります。
医療者、は患者さんが救急搬送されてから診断・治療に至るまでの時間を、1分1秒でも短縮するよう全力を尽くしています。
また、そうするためには、患者さんご本人だけでなく、ご家族含め周りの方も脳卒中への備えが必要となります。
脳卒中の治療は、医療者、患者さん・ご家族、すべての努力で診療時間を早め、後遺症が残るリスクを抑えることが大切です。

疑わしい症状が現れたら「すぐに」119番!

手足のしびれやまひなどの脳卒中が疑われる症状が出た場合は、様子を見ることなく、いち早く来院することが重要。間違っていても構わないので、救急車を呼ぼう!

病院は、患者さんの来院前から「迅速」に準備を開始します

救急隊からの搬送要請で、症状から脳卒中と思われる場合は、患者さんが到着する前から当院の脳卒中チームが準備を始めます。

  • 脳神経内科・外科医 ⇒ 画像診断および処置の準備
  • 診療看護師(NP)・看護師 ⇒ 家族への連絡、処置の説明・同意書の準備
  • 放射線技師 ⇒ CT・MRI撮影の調整・準備

検査・診断を止めない「事前」の情報登録を!

脳卒中では、搬送時にすでに意思疎通ができないこともあり、付き添いの方がいないと、患者さんの情報が分からずに検査・診断が止まってしまう恐れが。そうならないためにも、スマホや手帳などを活用して、大事な情報を事前に記録・登録しておくことをオススメします。

緊急連絡先やメディカル情報の登録

家族・友人の連絡先やご自身のお身体の情報(アレルギーや既往歴、服用中の薬など)をスマホや手帳に登録しておきましょう。

体内の医療用金属の有無

MRI検査は、体内の金属の有無、いつ、どこの病院で、どの部分に、何を入れたかを確認できないと実施することができません。手帳やカードに記載するほか、ご家族にも正確に伝えておきましょう。

「経過時間」によって変わる 治療の選択肢!

選択肢1薬で血栓を溶かす血栓溶解療法

血栓を強力に溶かす効果のある薬を点滴によって全身に投与し、血栓で詰まった脳血管を再開通させる治療法。薬の適応時間が発症・発見から4.5時間と短く、治療開始が早いほど症状の改善が期待できる。

選択肢2カテーテルによる血栓回収療法

足の付け根から挿入したカテーテル(細い管)で、脳血管に詰まった血栓を絡めて回収し、閉塞した血管の再開通を試みる治療法。従来は発症から8時間以内が適応とされていたが、医療機器の進歩により、脳血流が比較的保たれているなどの条件が揃えば、発症から24時間以内なら治療を行うことが可能となった。

※いずれも医師の判断により適応とならない場合もあります。

急性期から始めるリハビリテーション

脳卒中のリハビリは処置が終わってすぐにでも開始することが望ましいとされている。長期の寝たきりによる身体低下防止が主な目的だ。さらには脳の損傷により「運動まひ」や「言語障害」などの後遺症がある場合は、早期から適切な訓練を積み重ねることで脳が新たな学習をはじめ、別の領域の神経細胞を機能させることができる。

プロフェッショナルDAIDOの流儀

病気を見つける、それがいのちを救う最初のステップ~診療放射線技師

通称「アンギオ」(angiography)と呼ばれる血管造影法がある。足の付け根や手首などからカテーテルという細い管を挿入、脳や心臓、腹部などの血管内に造影剤を注入し、X線透視を使って血管の狭窄や膨れ、破裂による出血状態の検査、その場で狭窄した血管の拡張や血栓除去、止血などの治療(IVR:Interventional Radiology)を行う。医師がカテーテルを使って検査・治療する間、血管を写し出す放射線技師の水野克彦に聞いた。

診療放射線技師 水野克彦
2015年入職。大学病院で一通りの放射線科業務を経験し、当初はあまり得意としていなかった血管造影(アンギオ)に自身の進む道を見出す。大同病院入職後はほぼこの領域に特化し、スペシャリストをめざしている。

検査だけでなく、治療に関わって目覚めたこと

「学生のころは、アンギオって嫌いだったんです」というのは、現在、大同病院の血管撮影室(以下、アンギオ室)にほぼ常駐している水野克彦だ。
 高校生のとき祖父をがんで亡くし、そのときの主治医に言われた「もう少し早く見つけることができていれば…」という言葉が、彼の進路を決めた。「病気を見つけられる仕事がしたい」
 大学を卒業し、最先端の診療放射線技師業務を学ぶために大学病院に勤務しジョブ・ローテーションでアンギオ室に配属されてから、それまで技師として学んだり経験したりしてきたいろいろなことがすべてつながった。通常CTやMRIなどに携わる技師は「検査」というフェーズに立ち会うことが多いが、アンギオ室では、血栓を取り除く(血栓回収療法)、コイルを詰めて動脈瘤の破裂を防ぐ(コイル塞栓術)といった治療も頻繁に行われる。実際に脳血管の治療を行っていたら、いままでなぜ検査が必要だったのか、どうしてあのような撮影方法が必要だったのか、パッと世界が開けたのだという。「血管という重要な部位についてどんどん詳しくなれることも探求心をくすぐったし、何より治療後に患者さんの回復した姿を見られることが嬉しかった」

だれよりもクリアな画像を

アンギオ室では、脳血管は主として脳神経外科医、心臓は循環器内科医、その他の臓器は放射線科医が造影検査やカテーテル治療を手掛ける。放射線技師は、造影剤の注入、血管撮影装置を動かし放射線の照射角度や強さ、時間の調節・管理などを行う。どれだけクリアな映像を写し出せるか、それが技師としての腕にかかる。造影剤を入れる速さや量、撮影するタイミングによっても画像の見え方は異なり、病変の位置に合わせて、医師とコミュニケーションを取りながら、動的に対応していかなければならない。「医師が何を考えているのかがわからないと、有用な画像を写し出すことができません。日ごろから先生たちとのコミュニケーションを大事にし、彼らの〝こう見たい〟というニーズを的確に掴むようにしています」

もうひとつ、とても大事なことがある。それは患者さんおよび施術者への被ばく線量の管理だ。一定箇所への照射時間が長くなると、皮膚への影響が出るリスクがある。だから、そうならないように当てる方向を変え、X線量などを調整する。これも医師と話し合いながら進めていく。
「僕たちに求められるのは、より良い検査・より良い治療のために、患者さんや施術者である医師の安全を保ちながら、できるだけ鮮明な画像を写し出すこと。だれよりもキレイな画像を出せる技師になりたい」

一日一つ、昨日の自分より成長する

水野はアンギオのエキスパートをめざし、「血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師」になるための勉強を続けている。そのほか、いまは心電図に関する検定も受ける予定。循環器のカテーテル検査や治療では、心電図がわかることも重要だからだ。「一日一つは昨日の自分より成長する」ことをモットーに、前に進み続ける。

そんな水野が一番大事にしたいと思うのは、初心を忘れないこと。祖父や父を病気で失くして心に刻んだ「いのちを助ける仕事をしたい」という気持ち。「患者さんに親身になって寄り添って、確実な検査・治療をするための画像を提供し続けたい」と目を輝かせた。

CLOSE-UP地域医療「糖尿病治療の最前線」

人生を楽しみながら、うまくコントロールしていこう!

国内の糖尿病の患者数は約1,000万人、強く疑われる人や可能性を否定できない人を含めると、約2,000万人に上るといわれる。
しかし非常に複雑とされる病気の解明が進み、内服薬をはじめ、治療法は日々進化している。
そんな糖尿病治療の最前線を追いかけながら、地域の患者さんに寄り添う二人の開業医の先生を招き、お話を聞いた。

糖尿病は多様な病気

――糖尿病治療の特色はどんなところにありますか?
竹内 糖尿病というのは、原因や治療法を選択するための要件のようなものが、非常に多岐にわたります。病気の状態、生活習慣や生活環境、遺伝やご家族の病歴など、患者さんごとに、その人に合った治療を選んでいかねばなりません。最適な組み合わせを考えるために、日々解明されて進化していく糖尿病についてわれわれは常に学び続けています。
 お薬は、私が医師になったばかりのころは、まだ二種類くらいしかありませんでしたが、2000年代から選択肢がどんどん増えてきました。インスリンの分泌を促し血糖値を下げるお薬にも速攻性のあるものが出てきたり、糖が新しく作られるのを防いだり、筋肉や脂肪に糖を取り込むよう促すお薬が見直されたりしてきました。
糖尿病の治療はとにかく継続することが大事なので、お薬をなるべく忘れずに飲んでいただくために、可能ならば1日1回服薬すればよいものを選択しますし、どうしても3回飲んでいただかなくてはならない薬が必要ならば、飲み方を工夫します。
――糖尿病治療では食事や運動が重要ですが、おふたりはどのように患者さんを指導しておられますか。
竹内 糖尿病は画一的な疾患ではないので、たくさんの要素がありますが、やはり肥満の防止が大切です。現代は、外食やお惣菜中心、お菓子や清涼飲料水などで糖質過多なライフスタイルになりがちですから、糖質の摂りすぎによる肥満に気をつけていただきたいですね。
 運動は何でもいいと思います。基本的には有酸素運動が有効ですが、家で筋トレをやるのが好きなら、それでもいい。YouTubeを見てエクササイズをされる方もいますね。「へえ、こんなのあるんだ」と驚くこともあります。いきなり1日1万歩と頑張らなくていい。週1回しかできないとしても、まずは始めてみることが大切です。
竹内 食事療法などは、お一人ではなかなか難しい場合でも、ご家族が支えてくれるとうまくいくことが多い。ご家族と一緒に栄養相談に来ていただいて、一緒に健康になっていただくなど、周りの方を巻き込むことも心掛けています。

加木屋たけうち内科院長 竹内誠治先生

あきらめないで、向き合って

――患者さんへのメッセージをお願いします。
 いまの治療を見直したい人、少しでも良くなりたい患者さんにとって、敷居の低いクリニックでありたいと思っています。管理栄養士による食事指導も比較的すぐにできますし、糖尿病の自己管理ツール「フリースタイルリブレ」などを提供して積極的に自己管理ができるように促しています。
竹内 糖尿病の薬物療法はどんどん進化し、検査でわかることも増えています。きちんと治療すれば、うまくコントロールできるよい時代です。昔は合併症のネガティブなイメージが強かったのですが、糖尿病だからといって恐れることはないし、諦めて欲しくないです。例えば旅先では美味しいもの食べてきて、また戻ってきたら頑張るなど、人生を楽しみながら糖尿病とつきあい、治療が中断されないことが大事です。働く世代の方だと、通院が必要なのにできていない方が半分くらいという報告もあります。治療を中断されている方は、合併症が生じる前に、ぜひ治療を再開しましょう。
 当院は、専門的な治療や検査も一通りできますし、経験を積んだ看護師や管理栄養士もいます。なるべく通院を負担に感じなくて済むよう工夫していますが、当院に限らず、かかりやすい専門の先生に診てもらって、ちゃんと糖尿病と前向きにつきあっていただきたいと思います。
――ありがとうございました。

木場内科クリニック院長 林 正幸先生
医療法人港南会 糖尿病・甲状腺 木場内科クリニック

南区と港区の境界に位置する、大型商業施設と同じ建物内で利便性は抜群。検査結果が出るまでの待ち時間にお買い物も可能。糖尿病認定看護師が在籍し、入院することなく注射剤に切り替えるなどの療養サポートも行う。栄養相談も随時対応。24 時間WEB 予約可能。(名古屋市港区木場町8-51 TEL:052-698-2298) WEBサイト

糖尿病・甲状腺 加木屋たけうち内科

予防医療に力を入れるため、知多半島のなかでも若い世代の多い地に、「また来たくなる」クリニックをめざして開業。24 時間WEB 予約や問診票などのシステムも完備、「100 人100 通」の糖尿病治療をキャッチフレーズに、患者さんとの対話を大事にしている。(東海市加木屋町1-129 TEL:0562-57-8081) WEBサイト

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