当院について
「おもてなし通信」第7号(2025.01)
もくじ
- 特集「フラクタルなDAIDO看護師(ナース)」
フラクタルなDAIDO看護師(ナース)
DAIDO看護師たちの活躍の場
看護部長インタビュー
看護師それぞれのMyValues - プロフェッショナルDAIDOの流儀
看護師「自らを奮い立たせる環境に身を置くことこそがエネルギーの源泉」 - CLOSE-UP地域医療「在宅療養を支える訪問看護」
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フラクタルなDAIDO看護師
「フラクタル(fractal)」とは、部分と全体が同じ形となる「自己相似性」をもつ図形のことだ。共通の価値観と一定以上のスキルをもつ看護師たち。しかし一人ひとりは個性にあふれ、その集合体の総延長は無限大。そんなDAIDO看護師(ナース)の魅力を、紹介したい。
現代の看護師の役割
- Cargiver(ケアを提供する人)
看護師の最も伝統的な役割。患者さんの身体的・精神的なニーズに対し、寄り添って支える。 - Healer(癒やす人)
医療技術を提供するとともに、患者さんの全人的な回復、心身の調和を目指す。 - Educator(教育する人)
患者さんの病気理解を促したり、セルフケアを指導したり、その人が自立して健康管理できるよう導く。 - Adovcator(代弁する人)
患者さんの権利や意思を代弁し、それが尊重されるように、医療チームとの間の架け橋となる。 - Innovator(探求する人)
日進月歩で進化する医療の世界において、常に学びつづけ、実践し、より良いケアに向かって進化していく。
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冬になると、その美しい黄緑色と洒落た風ぼうで野菜売り場をにぎわせる「ロマネスコ」。最近、日本でも見かけるようになったヨーロッパ原産の
ブロッコリーの仲間で、その形は「フラクタル」の代表格といわれます。わたしたちはこれをDAIDO看護師(ナース)に見立て、元気に遊んでもらいました。
DAIDO看護師たちの活躍の場
大同病院をはじめ、宏潤会のさまざまなところで活躍する看護師たち。高度急性期医療を支え、地域医療のハブとなっています。
こんなところにも、あんなところにもいて、わたしたちの存在意義「その人の誕生前から最期まで、診療・ケアと安心を提供する」ために、毎日奮闘しています。
看護部長インタビュー
看護師が、本来の役割を極めていくために
診療の場に寄り添い、手当てをし、心理的なケアをする。そんな看護師の本来の役割において、患者さんに対するバリュー(VALUES:価値観)を最大化させるための環境を整えることが私の役目です。高度・専門化する医療現場で、知識や技術を磨いたり、人間としての奥行きや幅を広げたりできるような教育の仕組みを整えています。
従来医師にしかできなかった医療処置ができる看護師を増やすことで、患者さんが必要なときにスグに対応できるようにし、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に導入するなど、タスクシフト・タスクシェアも進めています。
一番大切なのは、看護師たちが元気で笑顔でいられること。患者さんから学び、地域に還す。そういうパワーチャージの連鎖を作り出していきたいと思います。(大同病院 看護部長 横山昌子)
看護部長の「Dらじ」も聴いてね♪
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看護師それぞれのMy Values
Daido Medicineの存在意義「その人の誕生前から最期まで、診療・ケアと安心を提供する」や、Values「チームワーク」「貢献」「卓越性」「おもてなしの心」の提供を実現するために、現場で奮闘する看護師たちを追いかけました。
未来を描く子どもたちの笑顔のために
入院して治療して、元気になっておうちへ帰っていく子どもたちの笑顔に、杉本は明るい未来を感じる。学生時代からの希望通り、小児病棟の看護を続けるが、実際にはたらき始めると、親御さんなど家族と広く関わっていくことを学んできた。相手が子どもだと「説明してもわからないから」とか「遊びに夢中でなかなか聞いてもらえない」と思ってしまいがちだけれど、“頑張りたい” という子の意思を尊重して、親御さんたちの力も借りながら、処置やケアを提供する。
子どもたちと一対一で向き合う日々に毎日たくさんの小さなストーリーが生まれる。
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少しでも早く日常生活に戻れるように
外科の患者さんは、基本的に手術ができる体力のある人。手術によって一時的に体力が低下するが、少しでも早く元の日常生活に戻れるよう励まし、手助けするのが佐藤たちの仕事だ。
「傷の痛みを薬で抑えてでも、積極的に動いていただく。昼間起きて座っているだけでも、その後の回復が違います」
傷の処置をしながら、生活背景などいろいろな話をする。退院後にだれが食事を作るのか、ひとりでシャワーを浴びることができるかなども重要なのだ。
「一人ひとりの患者さんにとって大事なものを尊重する看護が、わたしの“おもてなし”です」
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患者さんの受容プロセスを支える
佐野が働くのは、脳卒中などにより、突然の麻痺に見舞われたり、認知機能や意識レベルが低下した人が多い病棟だ。
患者さん自身がとまどったり、病気のことを理解できていなかったり、起こったことを受容できていないことも多い。単純に「大丈夫ですよ」とは言えない。傾聴し、患者さんの想いに寄り添い、受け止める。そして今後の生活を考えるため、リハビリやソーシャルワーカーなどの専門職につないでいく。そうして、少しでも上向きになる手助けができたとき、佐野は手ごたえを感じる。「僕は、患者さん支援のマネジメントが好き。そういう方向に進みたいと思っています」
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緊急性や重症度の判断がカギ
救急の看護師の役割は、まずは患者さんの症状を見て、その緊急性や重症度を判断していくこと。それらが高い患者さんを優先して診られるようにする。
「顔色や表情など、まずは見た目が大事。そして呼吸、脈拍、血圧など、いつどんな症状がでたのか、どのくらい続いているのか、痛みの程度などを聞いていきます。そのとき、言葉(患者さんの訴え)には表れない症状までも見極めていくことも大切で、そのためには経験も求められます」
たくさんの救急患者さんに対して、必要な手当てを提供し、良くなる兆しを感じたとき、「救急っていいな」と思う。
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その人が自分らしく生きられるように
多職種で構成する「がんサポートチーム」の専任看護師として、入院するがん患者さん月延べ200人ほどの経過を把握し、必要な方への緩和ケアに携わる。その全人的な苦痛が和らぐように、病棟看護師のバックアップ、医師などがん診療の専門スタッフやソーシャルワーカー、地域の医療者らとの架け橋になるのが荒木の役目だ。
「看護師になって、病院って治るひとばかりじゃないんだということを目の当たりにしました。けれども、最期までその人が自分らしく生きられるよう、患者さんや、それを支援する医療者をサポートすることが、わたしの使命なんです」
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地域を照らせる組織づくりへ
外来看護師には大きく二つの役割がある。通院患者さんが安全に、適切な医療を受けるための支援、そして慢性疾患の患者さんが自宅でスムーズに療養できるように指導や手助けをすること。例えば、介護サービスが必要なのに導入できていなければ、しかるべき窓口に繋ぐ。外来がん患者さんのケアにも力を入れる。身体的・精神的苦痛を感じている人をていねいに把握し、専門知識をもつ看護師たちが中心となりフォローしていく。
後藤自身はいま、看護組織のマネジメントを学ぶ。「このクリニックが地域のみなさんの行く先に明かりを灯す存在であるよう、引っ張っていきたい」
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プロフェッショナルDAIDOの流儀
自らを奮い立たせる 環境に身を置くことこそが エネルギーの源泉~看護師
大同病院は、今年度より看護師の特定行為研修施設となった。「特定看護師」になると、従来、医師の直接指示の下でしかできなかった診療上の行為を、一定の条件下で看護師が判断し、実施できるようになる。医師のタスクシェア推進や医療の質向上のカギを握るひとつとして期待される資格だ。まもなく当院での研修第一期生が特定看護師として羽ばたく。これに志願したのはどんな看護師だったのか。うち一人を紹介しよう。
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2019 年以来、県看護協会の「災害支援ナース」に登録。2025 年3 月特定看護師取得予定。ほかに「メディ
カルラリー」という医療従事者の競技会にも参加し、あちこち飛び回り、ネットワークを広げている。
やりたいことに突っ走る、異色のキャリア
はじめは歯科助手だった。結婚・出産し、医療事務を始めるも、持ち場に隣接していた救急外来での、看護師のテキパキとした態度に感銘を受けた。同時に自分が何もできなかったことに唖然とし、看護学校を探して受験。家族には事後報告だった。末の息子の小学校入学と同時で、こどもたちと机を並べて宿題をする生活だった。奨学金をもらっていた系列の市民病院に就職。手術室、救急外来を経験、そして大同病院に転職した。
病院の存在意義が凝縮した救急の世界
救急の現場では、短時間でいかに自分が関わって患者さんを改善させるか、患者さん・家族の人生や生活背景に介入していくかが問われる。その中で自分のスキルや知識をどんどん求められ、それに対して勉強し続けるよう、自らを奮い立たせなければならない。それがやりがいだという。
「考える余裕もなく瞬時に判断しなければならないことが多い。とにかく相手の気持ちに寄り添い、それを汲み取ることを心がけています。例えば、医療的にはもう助からないとわかっていても、少しでも可能性があるなら救命処置を続けてほしいという家族は、いったいどう声をかけてほしいだろうか、と自問します」
特定看護師も、 災害支援ナースも
「わたしは”欲オバケ“なんだと思います」と吉永は笑う。好奇心旺盛でフットワークが軽いのは、昔もいまも変わらない。
「やらずに後悔するよりやって失敗したらまた考える」
昨年2月、能登地震の被災地に「災害支援ナース」として派遣された。もともと看護協会の研修を受けて登録していたが、吉永にとっても初めての経験。当院としても病院登録して最初の派遣となった。
「金沢の1.5次避難所という、被災者がホテルなどに移るまでの間、一時的に受け入れる施設に行きました。地震から一カ月以上経って少し落ち着いていたので、感染症などでスクリーニングされた人だけをケアするように言われたのですが、あいさつに回ってみたら、テントの中にゴミが溜まっていたり、長く着替えができていなかったり、問題を抱えた人が大勢いたのです。たまたまひとり足浴をしたら、その方はほうかしきえん蜂窩織炎になっていました。これは大変!と全員をみることに。救急搬送が必要な人も何人かいました。それから全員を順に足浴することを、次のチームに引き継ぎました」
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特定看護師研修第一期生に志願したのは、ある人に「モノの見方が変わる」と言われたから。「救急看護パッケージ」を選択し、同期3人で励まし合いながら研修を進めている。週の半分は通常勤務で夜勤もこなすなか、eラーニングと現場実習を続けるのは簡単ではない。
「わたしたちができることが増えれば、今まで夜勤帯には医師の数が少ないからと、やりにくかったこともできるようになり、患者さんに大きなメリットがある」と張り切る。
今後の抱負を尋ねると「同じようにいろいろなことに興味を持ってくれる仲間を増やしたい。そして楽しく働きたい!」と高らかに答えてくれた。
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CLOSE-UP地域医療「在宅療養を支える訪問看護」
患者さんの一番近くで
病棟などで研鑽を積み、訪問看護に転じた看護師たちはよく語る。「患者さん・利用者さんに向き合い、その人の生活背景や大切にしているもの、ご家族のことも含めて考え、看護できることが喜び」と。
Tさん(93歳)は、そのご夫君を2020年より大同訪問看護ステーションが担当し、大同病院で看取られた頃から
Tさんご自身も訪問を受けている。
体温や血圧計測から始まり、食事のこと、お通じのこと、皮膚の荒れのことなどこの一週間の様子を聞き取る。患
部を実際に見て、使っている薬に代替案があれば、「今度、先生に診てもらうときに、相談してみてください」と具体的な用語を出して助言する。
Tさんは故郷の鹿児島のこと、ご兄弟のこと、デイサービスで作ったちぎり絵のことなどを話しながら、ゆったりとした、温かい時間が流れ、ご家族にも笑みがこぼれる。
訪問看護師は、在宅で療養する患者さんに一番近いところで、ケアチームの要として、細やかな心身の看護を提供する。
訪問看護とは…
介護保険や医療保険サービスの一環で、看護師が定期的に、その人の自宅を訪れ、体調管理や医師の指示に基づく医療処置、服薬管理や家族へのアドバイスなどを行います。契約に基づき24時間体制で緊急時の対応も可能で、ケアマネジャーや訪問診療の医師らと情報共有しながら、患者さんの自宅療養を支えていきます。
宏潤会の二つの訪問看護ステーション(大同訪問看護ステーション・大同みどり訪問看護ステーション)や、地域のたくさんの訪問看護ステーションは、一人ひとりの患者さんを中心としたケアチームを構成し、サービスを提供しています。
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