当院について

「おもてなし通信」第6号(2024.10)

もくじ

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オペ室探検!

病気やケガの外科手術を行う手術室(オペ室)。そこは、高度急性期医療を担う大同病院のまさに心臓部。
患者さんがそこへ入るときには、麻酔がかかって、なかなか様子をうかがい知ることはできません。
どんな人たちが、どんなモノが、どんなふうに動いているのか、ちょっと覗いてみましょう。

オペ室ってどんなところ?

大同病院には7つのオペ室(手術室)があり、毎日大勢のスタッフが駆け回り、さまざまな外科手術が行われている。
隣接して、さまざまな器械や物品を格納するスペースや、診療で使用した器材を洗浄・滅菌する部屋などがある。

 

オペ室は「クリーン」が至上命題

ダヴィンチが鎮座する第5室。さらに、脳外科や脊椎外科専門の第2室、消化器や呼吸器など鏡視下手術で活躍する第6室、ほかに主に口腔外科(第3室)や眼科(第4室)が使用する部屋がある。
全体は通常「陽圧」に保たれ、外からの空気を微粒子フィルターによりきれいにして取り入れ、常に循環させる(※)。

※第1室:中の空気を外に出さない「陰圧」化が可能で、結核など感染症患者さんの手術に使用可能。
※第7室:フィルタリング精度が最も高く、絶対的な滅菌が要求される人工関節の手術などに使用される。

診療科によって使う器械はさまざま。医療の高度化により、精密で複雑な機器が増えている。多くは臨床工学技士(ME)によって集中管理される。
カテーテルや針などの消耗品も雑然としているように見えるが、種類も用途もサイズも実に多様だからだ。

手術は究極の「チーム医療」!!

ひとつの手術に立ち会うスタッフの数は、だいたい7〜8人だ。執刀医のほかに、助手を務める医師が2人程度、麻酔科医、器械出しを行う看護師、患者さんの状態を管理する外回り看護師、さらに機械の管理をする臨床工学技士(ME)、レントゲンを撮りながら行う手術では診療放射線技師も加わる。 「麻酔で眠る患者さんはいわば「まな板の上の鯉」状態。術野を確保するために体位を変えたりすることもある。いのちを預けてくださる患者さんに敬意をもって、みなで力を合わせなければ、手術は成立しない。

ダヴィンチ活躍の場がこの夏拡大

手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入されて約2年。消化器外科では胃がんや大腸がん、泌尿器科では前立腺がんの手術に大活躍中だ。
今年の夏から、呼収器外科の肺非結核性抗酸菌症にも適応の場面が広がった。当院が得意とする分野では、尿器科での開設器脱手術(RSC)にも使用開始された。

患者さんへの侵襲をさらに少なく 「肺非結核性抗酸菌症」は、もともと私が専門としている分野で、全国でもトップレベルの手術件数を手掛けています。6月からロボット支援下手術が保険適用となったため、当院でも早速ダヴィンチ手術を導入しました。従来の胸腔鏡手術にも増して出血が少なく手術時間も短い傾向にあり、術後の痛管理もしやすいため、今後もロボット支援下手術の割合を多くしようと考えています。

山田 勝雄医師
(呼吸器・心血管外科主任部長)

プロフェッショナルDAIDOの流儀

さまざまな課題の解決には プログラミングスキルが 大いなる力となる~システムエンジニア

院には電子カルテなどを司るシステム部門がある。高度化・専門化する診療情報を管理し、患者さんのケアプロセスに沿って有機的に共有されるよう、各現場システムとの統合を図る。さらにパソコンまわりの雑多な機器管理、ソフトウェアやセキュリティの管理まで一手に引き受け、独自システムの開発まで手掛けるのが当院のDMIT(Daido Medicine Information Technology)管理部だ。今号では、その下部組織であるプログラム開発室長・大井円香を紹介したい。

システムエンジニア 大井円香
2016年、藤田医科大学医療経営情報学科を卒業して入職。医事の仕事をすることを考えていたが、情報システムという分野に出会う。2022年に夫の札幌転勤に帯同し、2年間の在宅勤務生活を送る。2024年春に帰名、6月には30歳の若さでDMIT管理部プログラム開発室長に就任した。

札幌の地での孤独な奮闘

2022年初め、結婚して間もなく夫の札幌転勤が決まる。「迷ったのですが、大同病院が好きなので働き続ける方法はないかと相談しました」

時はコロナ禍。IT業界では在宅勤務が当たり前となり、宏潤会でも事務系職種を中心に、可能な職場は在宅勤務を進めることが奨励されていた。それでも通年在宅勤務は前例がない。しかし、本人のやる気と成長ビジョンがあれば、叶えられるのが宏潤会の良さでもある。

システム部門のメンバーとしての大井の仕事は、まずは法人内のさまざまな部署で扱う情報(マスターデータ)を一元管理すること。これに関わる業務の一切を引き受けた。また院内からの問い合わせ対応窓口となり、問題を切り分け、リモートで対応できることは自ら実施、そうでないことは本部にいるスタッフに振り分けるようにした。新人教育にも携わる。

そしてもう一つのミッションが、プログラミングの学習と実践だった。オンラインのスクールで、JAVAとPythonという二つの言語を学び、スクールの課題として指導を受けながら、それを使って病院の内視鏡予約管理システムを作った。「毎日ひとりで黙々とプログラミングし、テストしていました。孤独でしたし、自分次第でどうにでもなってしまうので、できるだけ時間内に終わらせるよう集中して取り組みました。新しいことにチャレンジする機会をくれる法人があって、協力してくれる仲間がいることが支えになった。途中から毎日朝夕にZoomで部署内ミーティングをするようになり、精神的にも安定しました」

経営や地域の課題を解決するシステムを皆で作っていきたい

2024年春、2年の札幌生活を経て、名古屋へ戻った。そして与えられたポジションは、プログラム開発室長。それまで現DMIT管理部長の宮川侑己がひとりでやってきた仕事だ。彼は、独学でプログラミングを学び、大井がロールモデルとする人物である。

当室では、電子カルテなどのデータベースを活用しながら合理化や効率化に関するシステムをオリジナル開発していく。宏潤会はITに関してこれまでも新しいものを積極的に取り入れてきたが、それに加え、どんどん自分たちで作ってしまおうという精神なのだ。

さらに法人には、医療現場のスタッフが「あったらいいな」「こんな課題を解決したい」というシステムを、DMITに出向してプログラミングを学びながら自分たちで作るという制度も存在する。週1日現場を離れ、開発に取り組む診療放射線技師や事務員がいる。
「わたし自身、新しいスキルを身に付けて、自分を成長させつつ、他の病院ではできないことを、ITを活用して創造していきたいですし、ITスキルを持ったひとがもっともっと増えて、どんどんプログラム開発室に参加してもらえたらと思います」

大井の現ミッションは、診療データを統合して可視化する、いわゆるプラットフォーム化のためのシステムだ。「システム開発って、全体最適化を考えることでもありますが、一人で考えていると、細かい技術でつまずいてしまったりする。そういう人たちを巻き込んで、法人や地域に貢献できるものを作っていきたい」

「しっかりした専門知識とスキルがあって、確固たる仕事ができ、周りから信頼される人がプロフェッショナル」。そう言って、大井は目を輝かせた。

CLOSE-UP地域医療「街を守る救急隊」

病院だけじゃ地域医療は成り立たない!
24時間365日、急病や事故などによるケガなどの際に119番を押せば、飛んできてくれる救急隊。
最初の入電からわずかな時間で発進する彼らは、いったいどんなカマエをしているのでしょう。
ちょっと興味はありませんか?
大同病院に隣接する東海市の救急救命士に突撃インタビューしてきました。

消防署内で高らかに救急のサイレンが鳴り響いた。知多半島の119番通報はすべて半田市にある知多広域消防指令センターに入電する。と同時に「現在、入電中」の旨が東海市消防本部、北および南出張所の館内に流れる。それから1分もしないうちに、発生場所と市内4つの救急隊の待機状態から最適と判断された隊に出動要請が下る。隊員たちがすぐさまユニフォームを着て救急車に乗り込み出動していく。この間わずかに2分弱。

消防隊も救急隊も全てこなす、ハイブリッド隊員たち

東海市の人口は約11.2万人、年間約5,200回(2023年度実績)の救急車出動がある。同市には3つの拠点にあわせて6つの消防隊、1つのレスキュー隊、そして4つの救急隊がいて、1隊3名が基本構成だ。ただ消防隊と救急隊は兼務で、メンバーは火事があれば消防車で消防隊として、救急車が呼ばれれば救急隊として現場に急行する。

特徴的なのが、119番の入電時点でCPA(心肺停止)や呼吸苦、冷汗を伴う胸痛(心筋梗塞疑い)などの重症キーワードがあると、初めから消防隊が救急隊と一緒に現地に駆け付けることだ。
「救命士は現場で気管挿管や心臓マッサージなどを始めます。そのほかに病院に連絡したり、ご家族からお話を聞いたり、とにかく現場で人手が必要な事態に備えるんです」(竹内さん)

交通量の多い幹線道路や3階以上の建物といった環境要因も、そこに含まれ、救急車要請で消防隊が出動するケースは全体の25~30%にも及ぶという。

「消防車にも、除細動器などの資器材を積んでいますし、救急隊と消防隊が兼務なので、必要に応じて柔軟で迅速な対応が可能になります」(同)

東海市消防本部警防課
救急救命士・竹内謙太さん

顔の見える連携で、緊急時も良好コミュニケーション

竹内さんは、20年近く前から医療者向けの蘇生トレーニングコース(ICLS)のインストラクターとして、地域の病院で活躍。大同病院にも数年前から年数回、スタッフのためのコースに参加してくれている。
「大同病院のコースは、開催回数が多く、しかもインストラクターワークショップは、1日でできるコースを2日間にわたってじっくりディスカッションを重ねながら行っているのが特色。そこに参加して、医師や看護師のみなさんと接していることで、救急搬送時もすごく話がしやすくなります。顔の見える連携ってこういうことだな、と実感しています」(同)

救急隊員にとって、救急車で駆け付け、患者さんの様子や話から緊急度を把握し、得た情報を整理して電話で病院に伝えることは必要不可欠な技術。それが、すごくやりやすいのだそうだ。当院のスタッフにとっても同じことがいえる。

こうした救急隊の日ごろの協力・努力があって、ともに地域の急性期医療を支えるための活動ができる。地域のパートナーたちに、改めて感謝したい。

東海市消防本部南出張所
救急隊のみなさん

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